壮絶な出産

面白い経験でした

6年前、私は初めての出産を経験した。
6歳の時、テレビで出産シーンを見て『私、絶対赤ちゃん産まない??だって痛いんでしょ??』と親に豪語していた私が、助産師さんに『初めての出産とは思えないくらいスムーズでしたね!』と言われるくらい、とても軽やかな出産を体験させてもらったのだ。

 

初めての妊娠中、お腹が大きくなるにつれて、嬉しさの反面恐怖心も大きくなっていっていることに気づいた私は、元保健師の友人に『痛いの怖いんだけど、どうしたらいい?』という無謀な質問をした。

 

友人曰く『自分が一番リラックスできることをしてみたら?ただしそれをやっていいかは、事前に産院に聞いておいた方がいいよ』とのこと。

 

一番リラックスできることといって、その時私が最初に思いついたのは、結婚前からお肌のお手入れのためにやっている『スパ美容』というものだった。

 

そのスパ美容とは何のことはない、洗顔後に2種類のクリームを肌に乗せ、蒸しタオルでクリームを乗せた部分をじっくり温め、手を冷水で冷やしてマッサージしながらクリームを落とし、最後に冷水でパシャパシャとクリームを洗い流すというものだ。私はそのスパが大好きで、仕事で疲れた時や体調が悪い時などは、スパをした方が元気になるので、これはやるしかない??と思って、さっそく病院に相談してみた。

 

すると、案外あっさりOKが出たため、その日からさっそく夫婦でスパ出産の練習を始めた。

 

出産中は、私はもう動けないので、主人が代わりにクリームを塗ったり蒸しタオルを乗せたりしてくれることになった。

 

冷水で冷やしながら洗い流すのは無理なので、冷やしたタオルでクリームを拭き取るだけにした。

 

そんなこんなで練習に練習を重ね、もう本場きても5回はスパできるね!というくらい上手くスパできるようになっていた。そしていよいよ、陣痛が始まった。

 

その日は地元で一番大きな花火大会があったため、陣痛に耐えながらも、最後まで花火を見た。(自宅から見えたのがラッキーだった)花火が終わってシャワーを浴びた頃には、陣痛が5分間隔になっていたため、すぐに病院へ。

 

陣痛はそこからスムーズに進み、いざ出産!スパもバッチリ練習したから、いつでも大丈夫!だったはずなのだが…立ち会って、私にスパをしてくれるはずの主人が、初めての体験に右往左往。

 

もうスパをしていいのか、私を応援していいのか、何が何やら分からなくなっているような感じだった。

 

ようやくスパに手をつけたのは、出産も半分以上過ぎた頃。しかも、練習していたのとは全然違う、予想外の動きを繰り広げている。

 

お産でヒーヒー言っていた私も、主人のあまりのうろたえように、思わずフッと笑ってしまった。そう、笑える余裕があったのだ。
そして、リラックスしながらいきんだおかげか、赤ちゃんもスルリと出てきてくれた。あまりにすんなり出てきたので、スパは一回も終わらず、冷やしタオルでクリームを拭き取り切らないまま、お産の処置のため主人は退室となった。

 

後からサポートのため入ってきた看護師さんが、私の白いままの顔を見て『どうしたんですか??』と聞いてきたが、黙々と処置してくれていた先生がポツリと一言、『クリーム』と。もう爆笑だった。

 

苦しんでのお産ではなかったためか、回復もものすごく早く、生まれて8時間くらい後にお見舞いに来てくれた友人に、本気で『今から産むの?』と聞かれたほどだった。最初がこんな出産だったから、もう子供はいいやなんて思うことはなく、ただ今3人目を絶賛妊娠中である。

 

もちろん2人目の時もスパ出産だったし、今回もスパしながらお産する予定だ。毎度お世話になっている産院では、かなり自由なスタイルでのお産を認めてくれているが、他にこんな人はいないという。本当に感謝である。